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第622号 2010(H22).09発行

PDF版はこちら 第622号 2010(H22).09発行

農業と科学 平成22年9月

本号の内容

 

 

土壌診断に基づく被覆肥料施肥による
ハウス栽培コマツナの減肥高品質化

埼玉県農林総合研究センター
農産物安全・土壌担当
主任 杉沼 千恵子

1.はじめに

 作物中の硝酸イオンは過剰な窒素施肥によって高濃度化することが知られており,環境保全的見地からも硝酸イオン濃度低減化技術が求められている。また,窒素施肥量とグルコース等の品質関連成分濃度の関係が注目されるようになった。
 そこで,コマツナのハウス栽培において,土壌診断と被覆肥料の活用による,硝酸イオン濃度低減効果の高い施肥技術の確立を行うとともに,品質関連成分(グルコース,アスコルビン酸)濃度との関係を調査した。

2.材料及び方法

(1)試験場所・土壌条件

 埼玉農総研園芸研究所内パイプハウス(細粒褐色低地土)において試験を実施した。

(2)供試品種

 コマツナの供試品種は,夏,春および秋まき栽培では’ひとみ’(トーホク)を,冬まき栽培では’夏楽天’(タキイ種苗)とした。

(3)試験区の構成

 速効性肥料を対照とし,表1のとおり試験区を設計した。各作期の窒素量の目安1)を基に,表2のとおり窒素施用量を算出し,各資材の施用量を決定した。被覆肥料の試験区では,各成分の施用量が同量となるよう,重過リン酸石灰を施用して,リン酸を補った。
 基肥一回施用の二作連続栽培とし,全ての肥料は,基肥として1作目は種直前に施用した。

(4)耕種概要

 栽植密度は,ベット幅1m,6条播き,株間5cmとした。各作期の栽培期間は表3のとおりであった。

3.結果及び考察

(1)夏まき栽培

 1作目のコマツナの収量は,L40被覆区およびL70被覆区で,速効性肥料(対照)区より,やや増加したが,有意な差ではなかった(表4)。硝酸イオン濃度は対照区の2,441mg/kgと比較し,L40被覆区(2,491mg/kg)以外の他の試験区で約1割低下したが(2,192~2,121mg/kg),有意差はなかった(表5)。アスコルビン酸濃度は速効性減肥区でやや増加したが,ほとんど差がみられなかった。Brix糖度も,ほとんど差がみられなかった。

 2作目の収量はL70被覆区で最も多くなったが,速効性肥料(対照)区の1作目および2作目と比較し,有意な差はなかった(表4)。速効性減肥区およびL40被覆減肥区で収量が低かった。速効性減肥区は速効性肥料(対照)区の1作目と比較し,有意に減収した。硝酸イオン濃度は速効性肥料区が3,001mg/kgで最も高く,速効性減肥区が2,095mg/kgで最も低かった(表4)。また,速効性減肥区以外は1作目より高かった。アスコルビン酸濃度はL40被覆減肥区で最も高く,速効性肥料区で最も低かった。速効性肥料区のアスコルビン酸濃度は,同区の1作目と比較し,有意に低下した。Brix糖度には,ほとんど差がみられなかった。

 1作目のL40被覆減肥区,L70被覆区および2作目のL70被覆区は,速効性肥料(対照)区と比較して,有意差はなかったが,収量が増加し,硝酸イオン濃度が低下する傾向がみられ,硝酸イオン低減化に有効と考えられる。
 収穫跡地土壌の無機態窒素は,1作後,2作後とも減肥した試験区以外で高かった(表6)。また,速効性肥料(対照)区の1作目と比較し,減肥した試験区の1作目および全ての試験区の2作目で有意に低かった。

 被覆肥料のコマツナ1作目栽培期間中の窒素成分溶出率は,L40被覆肥料が73.5%,L70被覆肥料が39.2%で,2作栽培期間中では,L40被覆肥料が90.6%,L70被覆肥料が59.1%であった(表7)。

 L40被覆区では,植物体の硝酸イオン濃度が速効性肥料区より増加した。このことは,被覆肥料は窒素成分が徐々に溶出し,植物の生育に合わせて窒素を効かせることができるので,速効性肥料より肥効率が高まった結果と考えられる。肥効率が高まったことで,L40被覆肥料は減肥しても減収せず,また,根からの過剰な窒素吸収が抑えられたので,植物体の硝酸イオン濃度は低減したものと考えられる。
 L70被覆肥料も,L40被覆肥料と同様に肥効率が高まり,減収しなかったものと考えられる。さらに,肥料溶出期間が長期にわたるため,基肥1回施用で2作連作が可能になったと考えられ,結果的に1作当たりの施用量を,速効性肥料の半分にまで減らすことが可能であった。2作連作栽培は,L70被覆肥料の収穫跡地土壌への肥料成分の残存を低減させることにも有効であった。

(2)冬まき栽培

 1作目のコマツナの収量は速効性肥料(対照)区が最も高く,速効性減肥区,L40被覆区で低かったが,有意な差ではなかった(表4)。硝酸イオン濃度は,対照区の2,673mg/kgと比較し,それ以外の試験区では約3から6割(1,898~1,120mg/kg)で,有意に低下した(表5)。アスコルビン酸濃度は,L40被覆減肥区およびL70被覆区で,やや高かった。グルコース濃度は速効性肥料区およびL40被覆減肥区で高かった。

 2作目の収量は速効性減肥区で最も多くなったが,有意な差はみられなかった(表4)。また,全ての試験区で1作目より増収した(有意差なし)。硝酸イオン濃度は130~430mg/kgで全体に低く,速効性肥料(対照)区の1作目と比較し有意に低下した(表5)。アスコルビン酸濃度は速効性肥料区で最も高く,L40被覆区およびL70被覆区で低かった。速効性肥料区およびL40被覆減肥区では,速効性肥料(対照)区の1作目と比較し有意に増加した。グルコース濃度は速効性減肥区およびL70被覆区で高かった。Brix糖度にはほとんど差がみられなかった。

 夏まき栽培で硝酸イオン低減化に有効であった1作目のL40被覆減肥区,L70被覆区および2作目のL70被覆区は,冬まき栽培においても,減収することなく硝酸イオン濃度が低下しており,冬まき栽培においても有効であった。
 収穫跡地土壌の無機態窒素は,1作後,2作後ともL40被覆区およびL70被覆区で,それ以外の試験区より高かったが(有意差なし),2作後の濃度は低レベルであった(表6)。
 被覆肥料のコマツナ1作目栽培期間中の窒素成分溶出率は,L40被覆肥料が74.9%,L70被覆肥料が41.1%で,2作栽培期間中では,L40被覆肥料が89.2%,L70被覆肥料が65.5%であった(表7)。

(3)春まき栽培

 1作目のコマツナの収量はL70被覆区で,速効性肥料(対照)区よりやや減少したが,有意な差はみられなかった(表4)。硝酸イオン濃度は対照区の3,016mg/kgと比較し,それ以外の試験区で約5割,有意に低下した(1,617~1,478mg/kg,表5)。アスコルビン酸およびグルコース濃度はやや増加したが,有意差はなかった。

 2作目の収量はL70被覆区で最も多くなったが,有意な差はみられなかった(表4)。しかし,速効性肥料(対照)区の1作目と比較し,それ以外の試験区で有意に減収した。硝酸イオン濃度は速効性肥料区が2,093mg/kgで最も高く,L40被覆減肥区が1,157mg/kgで最も低く,速効性肥料区と比較して約4割低かった(表5)。L70被覆区では約1割低かった(1,828mg/kg)。L40被覆減肥区およびL70被覆区では,速効性肥料(対照)区の1作目と比較し有意に低下した。アスコルビン酸濃度はL40被覆減肥区で最も高く,L70被覆区で最も低かった。グルコース濃度は速効性肥料区でやや低かったが,ほとんど差がみられなかった。速効性肥料(対照)区の1作目と比較し,アスコルビン酸およびグルコース濃度に有意差はなかった。Brix糖度は,ほとんど差がみられなかったが,速効性肥料(対照)区の1作目と比較すると,速効性肥料区およびL70被覆区で有意に低下した。
 L70被覆区の2作日では,速効性肥料区の1作目と比較し有意に減収したが,春まき栽培の目標収量(1,800kg/10a)は上回っていた(L70被覆区2作目の収量は1,820kg/10a)。春まき栽培においてもL70被覆肥料の2作連続栽培は可能であると判断した。

 コマツナの硝酸イオン濃度に基準値は設けられていないが,EUにおけるホウレンソウの基準値であり,目黒ら2)が北海道における夏どりホウレンソウの内部品質指標の目標値とし,かつ伊達ら3)が春作軟弱野菜の目標値とした3,000mg/kgを下回ることができる施肥技術が,夏まき,冬まきおよび春まき栽培において明らかになった。
 収穫跡地土壌の無機態窒素は,1作後では試験区間でほとんど差がみられず,2作後ではL70被覆区でやや高かったが,有意な差ではなかった(表6)。
 被覆肥料のコマツナ1作目栽培期間中の窒素成分溶出率は,L40被覆肥料が62.7%,L70被覆肥料が43.8%で,2作栽培期間中では,L40被覆肥料が92.7%,L70被覆肥料が69.7%であった(表7)。

(4)秋まき栽培

 1作目のコマツナの収量は,試験区間でほとんど差がみられなかった(表4)。硝酸イオン濃度は速効性肥料(対照)区の4,698mg/kgと比較し,その他の試験区で約1.5割低下した(4,192~3,972mg/kg,表5)。L40被覆減肥区では,有意に低下した。アスコルビン酸濃度,グルコース濃度およびBrix糖度には,ほとんど差がみられなかった。

 2作目の収量は速効性肥料区で最も多くなったが,有意な差はみられなかった(表4)。しかし,L40被覆減肥区およびL70被覆区では,速効性肥料(対照)区の1作目と比較し有意に減収した。
 硝酸イオン濃度は速効性肥料区で最も高かった(2,837mg/kg,表5)。L40被覆滅肥区(1,292mg/kg)およびL70被覆区(2,051mg/kg)では,速効性肥料(対照)区の1作目と比較し有意に低下した。アスコルビン酸濃度およびBrix糖度には,ほとんど差がみられなかった。グルコース濃度はL40被覆滅肥区で最も高かった。速効性肥料(対照)区の1作目と比較するとアスコルビン酸濃度,グルコース濃度およびBrix糖度は有意に増加した。

 L70被覆区では,硝酸イオン濃度は,伊達ら3)が秋作軟弱野菜の目標値とした4,000mg/kgを超えており,速効性肥料(対照)区の1作目と比較し有意差もなく,硝酸イオン低減効果は不十分であった。L40被覆滅肥区の硝酸イオン濃度は3,972mg/kgで,速効性肥料(対照)区と比較し約1.5割,有意に低下したので,秋まき栽培における硝酸イオン濃度低減化には,L40被覆肥料の減肥栽培が有効と判断した。しかし,4,000mg/kgをわずかに下回ったにすぎないので,本作期での硝酸イオン低減化は,減肥率を上げるなど,さらに検討が必要と考える。
 収穫跡地土壌の無機態窒素は,1作後,2作後とも速効性肥料区で高かった(表6)。
 被覆肥料のコマツナ1作目栽培期間中の窒素成分溶出率は,L40被覆肥料が69.7%,L70被覆肥料が36.6%で,2作栽培期間中では,L40被覆肥料が82.2%,L70被覆肥料が50.1%であった(表7)。

4.おわりに

 ハウス栽培コマツナにおいて,春,夏および冬まき栽培では,リニア型40タイプ被覆肥料の25%減肥栽培またはリニア型70タイプ被覆肥料の基肥一回施用二作連続栽培,秋まき栽培では,リニア型40タイプ被覆肥料の25%減肥栽培により,速効性肥料を用いた場合と比較して減収をともなわずに,植物体中の硝酸イオン濃度を低減できることが明らかとなった。また、アスコルビン酸濃度およびグルコース濃度は硝酸イオン濃度が低いほど,高まる傾向がみられ(図1,2),硝酸イオン低減化に有効な施肥条件は,品質向上にも有効であることが明らかとなった。

 なお,栽培に被覆肥料を用いた際には,土壌中の肥料粒中に肥料成分が残存している可能性があるので,次作栽培開始までに,肥料成分溶出期間に相当する間隔を空け成分を完全に溶出させてから土壌診断を行い施肥設計を行う必要がある。

5.引用文献

1)山崎晴民(2005)
  ホウレンソウ,コマツナの硝酸含量の時期別実態と施肥管理による低減化
  埼玉農総研研報4,25-31

2)目黒孝司ら(1991)
  夏どりホウレンソウの内部品質指標
  土肥誌62,435-438

3)伊達ら(1980)
  野菜の硝酸根蓄積に及ぼす肥培管理の影響
  東京農試研報13,3-13

 

 

肥効調節型肥料を用いた水稲「はえぬき」の全量基肥栽培

香川県農業試験場 生産環境部門
主席研究員 田辺 和司
主任研究員 阿部 政人*
(*現 香川県農業試験場 府中分場)

Ⅰ.はじめに

 「はえぬき」は,山形県立農業試験場庄内支場で育成され,「キヌヒカリ」と同等の収量性と食味を有し,穂発芽しにくく,心白,乳白粒等の発生が少なく整粒歩合が高いことから,2003年に香川県の早生の奨励品種として採用された。
 その後,近年の高温の影響もあって,品質・収量の確保が難しい状況で,本県での作付け面積は,2005年産の1,380haをピークに減少傾向となっている。一方で,県内向けに一定の需要量があり,流通業者から安定した供給が望まれている。
 そこで,安定生産と食味向上,加えて施肥の省力化を目標に速効性肥料と肥効調節型肥料を配合した全量基肥栽培試験を2007年と2008年に実施した。
 図1に水稲の生育や肥効調節型肥料の溶出に影響を与える気温の推移を示した。

Ⅱ.試験方法および結果(2007年)

1.試験方法

(1)溶出シミュレーション

 地温データを基にしたシグモイドタイプ肥効調節型肥料の溶出シミュレーション結果を図2に示した。

 本県における6月下旬移植の「はえぬき」の出穏期は8月20日~25日頃であり,穂肥の適期は8月1日前後と考えられるが,溶出シミュレーションの結果,エムコートS60H(以下MS60H)の溶出ピークが穂肥時期と一致した。
 したがって,肥効調節型肥料の配合については,MS60Hを基本とし,生育後半の栄養成分としてMS100HおよびMS120Hを配合した試験区を設定した。

(2)埋め込み試験

 肥効調節型肥料2.5gを不織布で包んで栽培ほ場の深さ10cmに埋設し,一定期間後に取り出して残存窒素量を測定した。
 1)埋め込みほ場:香川農試ほ場,沖積層壌土(中粗粒灰色低地土)
 2)埋め込み日:6月29日(移植翌日)
 3)供試肥料:MS60H,MS80H,MS100H,MS120H

(3)栽培試験

 1)ほ場条件:埋め込み試験と同ほ場
 2)供試品種:「はえぬき」
 3)試験規模:1区25㎡,2連制
 4)耕種概要
   栽培法:稚苗移植(16株/㎡)
   施肥法:全量基肥(N6kg/10a全層施肥)
   基肥:6月26日,移植:6月28日,出穂:8月25日,収穫:9月28日
 5)試験区の構成

2.試験結果

(1)平均気温の推移

 2007年の平均気温(図1)は,移植後の7月上中旬に平年値をやや下回ったが,出穂期以降は平年値を2℃~5℃上回る高温で推移した。

(2)埋め込み試験結果

 期間溶出率の推移(図3)は,溶出シミュレーション(図2)の結果とよく一致していた。

 また,累積溶出率(図4)についても,肥効調節型肥料の各肥効タイプをよく反映した推移を示した。
 なお,MS60Hの累積溶出率が80%を超えたのは埋め込み6週後と7週後の間,MS80Hは約9週後,MS100Hは約11週後,MS120は12週後であった。

(3)栽培試験結果

 収穫調査結果を表1に示した。各試験区の精玄米重は,対照のMS100H区を100とした指標で98~103の範囲であり,大差は認められなかった。

 しかし,MS120Hを配合した⑥区と⑦区については,タンパク含量がやや高くなって食味値が低下する傾向であり,累積溶出率の推移(図4)と併せて考えると,本県の「はえぬき」栽培には肥効期間が長過ぎると考えられた。
 そこで,収量と食味を併せて考慮すると,図5に示したとおり,④MS60H+MS100H(7:3)区と②MS80H区が優れる傾向であった。

Ⅲ.試験方法および結果(2008年)

1.試験方法

 2007年と同様な方法で,埋め込み試験および栽培試験を実施した。

(1)埋め込み試験

 1)埋め込み日:6月27日(移植当日)
 2)供試肥料:MS60H,MS80H,MS100H

(2)栽培試験

 1)耕種概要
   栽培法:稚苗移植(17株/㎡)
   施肥法:全量基肥(N6kg/10a全層施肥)
   基肥:6月25日,移植:6月27日
   出穂:8月19日,収穫:9月24日
 2)試験区の構成

 2007年の試験結果から,①MS60H区およびMS120Hの配合により肥効期間が長すぎたと思われる⑥MS60H+MS120H(7:3)区と⑦MS60H+MS120H(8:2)区を除き,他区は前年度と同じ処理内容で栽培試験を継続した。

2.試験結果

(1)平均気温の推移

 2008年の平均気温(図1)は,出穂期に平年値をやや下回った他は,平年値を2℃~3℃上回る高温で推移した。
 また,2007年と比較すると,生育前半は高く,逆に出穂期以降は低く推移した。

(2)埋め込み試験結果

 期間溶出率(図6)は,2007年の期間溶出率(図3)と比較して溶出ピークが一週間程度早くなった。その結果,MS60Hの溶出ピークは,肥効を期待している穂肥期より前進する結果となった。

 これは,移植期(6月下旬)に埋め込んだ後,7月上旬~8月上旬までの平均気温が2007年より2~4℃高く推移したためと推察した。
 同様に,累積溶出率(図7)ついても,2007年の累積溶出率(図4)と比較して,一週間程度早くなり,MS60Hの80 %溶出までの期間が埋め込み5週後と6週後の間,MS80Hは7週後と8週後の間,MS100Hは9週後と10週後の間と推定された。

(3)栽培試験結果

 収穫調査結果を表2に示した。各試験区の精玄米重指数は,99~101で対照区と同等であった。

 また,収量と食味を併せて考えると,図8のとおり,④MS60H+MS100H(7:3)区と③MS100H(対照)区がやや優れた。

Ⅳ.まとめ

 以上,速効性肥料と肥効調節型肥料を配合した全量基肥栽培試験の結果,2ヵ年とも収量・食味が優れたのは,④MS60H+MS100H(7:3)区であり,次いで,②MS80H区と③MS100H(対照)区であった。
 穂肥時期は,幼穂形成期の出穂25日前~20日前(幼穂1~2mm)を中心とし,食味面では早期が,品質面では晩期が優れるとされており,MS60H+MS100Hの配合が品質・食味の両面で安定した肥効をもたらしたと考えられる。
 一方,近年の温暖化により,肥効調節型肥料の肥効がかなり前進するような場合には,溶出率の推移と試験結果から見て,MS80HまたはMS100Hのみの配合でほぼ同等の効果があると考えられた。

参考文献

1)今野・長谷川・武田
  水稲「はえぬき」の施肥法と収量・品質・食味,
  東北農業研究,50,57-58(1997)

2)森
  水稲「はえぬき」の品質向上対策について,
  豊穣(香川農試),45,6-9(2007)

3)山下
  「はえぬき」における肥効調節型肥料を用いた食味向上技術の検討,
  平成20年度近畿中国四国農業試験研究成績・計画概要集(2009)

4)濱口
  水稲「はえぬき」の穂肥診断技術,豊穣(香川農試),47,8-9(2009)